13はしごカレー
- Vlaminck mountain
- 2021年10月15日
- 読了時間: 3分
いよいよ旅をスタート。フェリーで入った高知から室戸岬へ進路をとって走り出す。その最初の夜、キャンプ場に入った時のこと。
『きみ、ひとり?お父さんお母さんは?』と、声をかけられた。
ひとりで旅を始めたところだということを言うと驚いた様子で歳を聞かれ、
14歳ですと答えるとさらに驚いていた。そのお父さんは若干興奮気味に、ご飯はどうするのか、うちで一緒に食べないか、是非話を聞かせて欲しいと矢継ぎ早に言ってきた。
時分でも食材の準備をしていたのでちょっと困ったなとは思ったが、その厚意はありがたくごちそうになることにした。
テントの準備を済ませてお隣りへ行くとすぐにご飯を出しくれた。キャンプの定番“カレーライス”だった。
そのお父さんは息子に話を聞かせてやって欲しいと目を輝かせて言ってきたが、その息子さんは高校生くらいで僕よりも年上。中学生から見る高校生はだいぶ上のお兄さんで、話を聞かせてやって欲しいなんて言われても、、と思ったが、とりあえず旅に出た経緯や明日からどうするかなどを聞いてもらった。本当はひとりでインスタントラーメンか何か、簡単に済ませるつもりだったが、おいしいカレーと優しいご家族に囲まれた食事は楽しく、気が付くとあたりはすっかり暗くなっていた。
ひとしきりしゃべり、食べさせてもらった後、僕は名残惜しさと申し訳ない気持ちを持ちながらその家のテントを離れ、次のテントへ向かった。
次のテントというのは実はこのキャンプ場へ着いた直後、知らないおじさんから声を掛けられ、ご飯を食べに来なさいと誘われていたのだ。そう、ダブルブッキングだった。
そのおじさんのテントへ行くと、数家族のグループキャンプで大所帯だった。
すでにだいぶお酒も入っていてかなり賑やかで、僕が近づくと「おー!きたきた!こっちにすわりなさい!」と大歓迎された。
話をしているそばからこれ食べな、これもおいしいよ、オクラって知ってる?東京にもある?とこれまた矢継ぎ早で、テンションがついていけなかった。たしかオクラはその土地の名産だかなんだかということだったが、生のオクラにマヨネーズをつけて食べる食べ方は初めてだったし、あれ以来やっていない。多分新鮮で柔らかいオクラだったから美味しかったんじゃないかと思う。
ここでもメインにカレーライスをご馳走になり、酒の入ったおとなたちの質問攻めに疲れた僕は明日も早いからとあまり遅くなりすぎないように自分のテントへ戻った。
子供がひとりで自転車旅をしているとこういう地元の優しいおとなたちはとても興味を持って親切にしてくれるということを覚え、安心した。
14歳と言っても、8歳から柔道をやっていたから身体は大きく、身長は170を超え体重は80以上あったはず。キャンプカレーのはしごなど余裕でおいしく平らげるでかい子供だった。
このキャンプ場から海沿いに室戸岬を通過し、鳴門海峡へ北上する最中、キャンプ場ではいつもこの調子で人の家のカレーをいただき続け、数えてみると13家族のカレーライスをはしごしていた。キャンプの定番とは言うものの、こうも見事にカレーとはさすがに驚く。
ただ、当然と言えば当然だけど、みんな違うカレーでとてもおいしかったし、話を聞いてくれて嬉しかったし、寂しさもまぎれた。
いつしか自分で食材を用意しなくなったのは言うまでもない。
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