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執筆者の写真Vlaminck mountain

開発ストーリー② 芯材について



 バッグ業界のみならず、インテリア業界(椅子やソファ等)なんかにもクッション材を製造する会社がたくさんあって、各社が独自開発して芯材を作っているから、検討もつかないほど種類がある。


 僕は兼ねてよりお付き合いのある業者さんに改めて現状用意できる芯材を聞いて回り、

さらにはそういった業者さんの集まる展示会にも足を運び、50を優に越えるサンプルを取り寄せ、吟味した。


 僕が特に目をつけたのが靴のインソウル。靴用のクッション材はバッグと違い、人の体重と、歩く度に衝撃を吸収する役割を持っている。さらに通気性や防臭効果などもあり、バッグ用のものよりも繊細なはずだからだ。


 ひとくちにクッション材といっても、弾力、反発、通気性、重量などさまざまだし、さらに私の求める厚みのものが作れるとは限らないし、当然コスト面も無視できない。


 あらゆる面で検討し、最終選考ではいくつかサンプルを制作しフィールドテストもした。

 

 ショルダーの左右に別々の芯材を仕込んで、その差をテストしたりもした。


 本業の鞄制作の方では使用する芯材にある程度の正解がわかっているため、改めて芯材を探すという作業はもう何年もしていなかったが、今回はそういう経験値をあえて無視し、一から精査しなおすということをしたので私自身またひとつ勉強になった。


 映画や本など、同じ作品をもう一度見た時の感覚に近いかも知れない。知った上で見返すと、最初は気が付いていなかったことに気が付いたりするあの感じ。そういう意味で、改めて芯材探しをしたのは良い経験だった。


 おしまい


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