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執筆者の写真Vlaminck mountain

開発ストーリー

更新日:2021年4月14日



 最初のバックパックは谷川岳にしようと、縫いながら考えていました。


 本業の空き時間にちょいちょい作業をすすめて作った一号サンプルで残雪の谷川へ登ったのは2017年のこと。


 その時のバックパックはいまのBLANCとは違ったかたちで、縦ファスナーを利用した容量変化のするものでした。


 今のものと共通しているのは、考え方。


 底の広い形状のものは遠心力で振られやすいし、見た目もぼてっとして好きじゃない。お尻側に垂れるから余計に重たく感じる。

 “ 底は絞る ”というのはあの時から変わらない。もっと言えば、ずいぶん昔に暇つぶしで作ったタウンユースのデイパックも底を絞った台形を逆にした形だった。だからそもそもこういう形状が好きなのかもしれない。


 それ以降も時間を見つけては改良品を作り直して山行していたものの、本業も2~3足のわらじを履いているもんだからバックパックを作る時間はなかなか見つけられず進行はゆっくりゆっくりでした。

 なにしろ普段作っているバッグや鞄と比べバックパックは大きい。大きいからちょっとした空き時間に作業台の端っこでちょこちょこという訳にもいかないんです。ある程度まとまった時間、最低でも半日は欲しいし、2~3日あれば嬉しい。でも2~3日あったらついつい山にでかけちゃいますよね。だからなかなか開発は進まないんです。


 それにちゃんと作りこんで納得いってからブランドにしたかったので、焦って進めることはないという考えでした。そういうわけで積極的に開発の時間を作ろうともしていなかったんですね。


 それが2019年の年の瀬、これまでいくつか改良&フィールドテストを重ねて行く中で培ってきたものが、ようやくはっきりとした輪郭が見えたような気がして、

それじゃあそろそろ本気でやってみるか、という気分になりました。


 その正月休みは本業を止めてバックパック開発に費やし、完成したサンプルを背負って2020年2月ひとりハワイへ行き、google map の衛星写真で見つけておいたトレイルで一泊二日のフィールドテストをしました。コロナが世界流行の兆しを見せ始めたころで、僕のチケットも危うく使えなくなるかと言ったぎりぎりのタイミングでした。


 その時のサンプルはいまのBLANCとは違う形状をしていて、そんなに背負い心地良くなかたのであれ以来使っていないけれど、その時の反省を踏まえて次に制作したのが、だいぶ完成形に近づいたから、やっぱり思い入れはあります。


 春になってついに緊急事態宣言なるものが発動された頃、その影響で私も多分に漏れず本業の方に大穴が空き、幸か不幸か時間だけは余裕ができました。

 生活は切り詰めてなんとかすれば良いとして。それよりこの未曾有の事態を転機と捉えようと、気持ちをシフトしました。おかげでこの時から一気に進みました。


 本体形状の理想のかたちが出るまでパターンを取り直し、背負った時のバランスが良いと思えるまで追求していきます。

ショルダー、背面、パッド、底、メッシュポケットと、すべてのパーツを細かく見直しては作り直し。形状以外にも、重量やコスト面も同時に考え、様々なものを書き留めたノートは3冊4冊と重なっていきました。


 ロゴデザインも自分で描きます。思いついたものをノートに描き留め、良さそうならイラストレーターできれいに作って、さらにパターン展開して探っていきます。悩みに悩んでついには夢で見た見たこともない弦楽器を描いたりもしました。あの時は迷走していましたね。

 伝えたいこと、印象、サイズ感など踏まえて、多種多様なデザインを創ってはボツにしました。

 昔デザイナーをやっていた時からイラストレーターで描くことは好きだったからこれも楽しい作業ではありましたが、なかなか自分が納得しないので骨が折れました。面倒くさい性格なんです。良いと思ったものを数日寝かせて、疑って見る。荒探しをするというか。ものづくりに向いていると言えば向いているし、向いていないと言えば向いていない。


 バックパックについてはデザインらしいデザインはしていません。

私はデザイナーではないので見た目から入るのではなく、職人らしく機能から追いかけて、配置やバランスを整える程度にする。特に力のかかり具合についてを一番に考えて開発するのがコンセプトでした。なにせ見た目から入ったらまた疑いの目が発動しかねません(笑)


 つくりの面では自分は計算と理屈で固められるので解決も決定も早いんです。そういうことも多分あって、デザインしないデザインをコンセプトにしたのかも知れません。

 結果的にはルックスもそれなりに気に入ったものが出来たので自分では満足しています。あとは人から選んでもらえるかどうかですね。


 フィールドテスト中すれ違いざまにひとから、どこのバックパックだと聞かれることも多く、その時に反応を見ているので、まぁ好きと言ってくれる人もいそうかなとは思っています。しかし皆さんほんとよく見てるな~と感心します。


 ところで、いまようやくHPが完成したところです。グラフィックは好きだけど、HPを作るのは初の経験なので、不備があるかもしれません。行き届かないところは追々修正していきます。

 慣れないHPアプリでやるよりもイラストレーターでカタログみたいに作って並べた方がはるかに簡単だから、一部そのようなつくりになっています。結果、スマホで見ると小さい文字なんかが若干見づらいということがわかりました。気になるところは全て修正してありますが。 是非PCからも見ていただけたらと思います。PCで作ってスマホ用に修正もしないといけないし、PC用のページをもっと良くしたいなといじろうもんならまたスマホ版が崩れる。慣れるまで大変でした。

 でも何事も経験。失敗を活かして勉強出来るかどうかが大事なところ。

 これからも、そんな風にしてちょっとづつでも進めたら良いなと思います。


 いよいよブランドスタートか... がんばろ。


                2021.4.10 vlaminck  





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